仄暗いほど柔らかい

晴読雨読の日々をつらつらと...

2017-01-01から1年間の記事一覧

ぼくのりりっくのぼうよみ「Water Boarding -Noah's Ark edition-」の歌詞を読む

最近は専らぼくりりを聴いていて、最新アルバム「Fruits decaying」も時間があれば聴きたいところなのです。 さて、私はアルバム「Noah's Ark」の中でWater Boardingが一番好きで、次点で在り処、もしくは表題作です。早速歌詞を見ていきましょう。ブログに…

舞城王太郎はエンタメか純文か / 芥川賞を取れるのか / 突出したリーダビリティに潜むもの

【舞城王太郎はエンタメか純文か】 私が舞城作品を読んでいて思うことは、実際に「今」読んでいるこの時が作品のピークなのではないかという事である。端的に言って余韻が少ないと感じる。それは特に短編で現れることが多い。最近「短篇五芒星」を読んだので…

朝吹真理子の曖昧さと連なり「きことわ」「流跡」、あと芥川賞について。更に、いまさら「コンビニ人間」

【朝吹真理子の「流跡」「きことわ」】 朝吹真理子の「流跡」「きことわ」を読んだところ、正直に日本文学の中でなら一番に好きと言えるかも知れない作品だった。因みに二つの内どちらが良いかと聞かれたら「流跡」だと思う。 「きことわ」と言えば、第144回…

舞城王太郎の「ディスコ探偵水曜日」がとんでもない作品だった

この三日で舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日」を読んだ。久しぶりに読んだ舞城作品であり、その中でも一番の長編であるこの作品を読んでしまったのは幸か不幸かはたまたその間にある謎の場所か、簡単に言ってトンデモない作品だった。 きっと数あるミステリー…

本好きが知っておくと役立つ楽しいサイト

小説や新書など色々な本が出版される中、本を選ぶにあたって役に立つサイトをいくつかまとめてみました。ほぼ自分用ですが、、 他におすすめのサイトありましたら教えて頂けると嬉しいです。 さて、紹介していきましょう! ●ALL REVIEWS 【公式サイト】 好き…

ウラジーミル・ナボコフ『アーダ』に描かれるユーモアだらけの遊戯

先日、若島正による新訳で出版されたナボコフの『アーダ』。訳者自身が「本書はなによりもまず、とびきり楽しい小説である。ナボコフの全作品の中で最もエロティックかつユーモアにあふれている」と話すように、まさにこの物語は多彩な交わりと言語遊戯が含…

寺山修司少女詩集は遊び心がいっぱいだ

最近、菅田将暉主演で寺山修司の小説「あゝ、荒野」が映像化され、とても気になるところである。 それを知る少し前に私は『寺山修司少女詩集』を読んだ。これは割と万人が楽しめる、玄人でなくとも楽しめる詩集であると思いました。言葉遊びに近い詩集になっ…

みんなに読んでもらいたいおすすめ小説5選【日本文学編】

最近は更新頻度が落ちてきていますが、ぼちぼちやっていきたい... さて、前回は「みんなに読んでもらいたいおすすめ小説5選【海外文学編】」と題して紹介しました。↓ みんなに読んでもらいたいおすすめ小説5選【海外文学編】 - 仄暗いほど柔らかい 今回は日…

みんなに読んでもらいたいおすすめ小説5選【海外文学編】

台風が去っていったようなのですが、友達が遊びに来た時くらいしかテレビを付けないので、正直気付いていなかったです。ただ今日の空は凄く綺麗な色で、青く澄み渡っていて気持ち良かった。 さて、早速おすすめの海外文学を紹介していきます。紹介順は関係無…

現代詩人「小笠原鳥類」を意味不明だと思ってしまったがやっぱり面白かったという話

まずは詩人「小笠原鳥類」を知らない人のために簡単なプロフィールを 小笠原 鳥類(おがさわら ちょうるい、1977年 - )は、日本の詩人。岩手県釜石市出身。早稲田大学卒業。文章の構造を組み替えた、主語や述語にとらわれない文章を基調とした現代詩を多く…

森博嗣ミステリィの特異点

【森博嗣】 森博嗣は超多作なミステリー作家で、S&MシリーズやVシリーズといったシリーズものが有名。「すべてがFになる」でメフィスト賞を受賞しデビュー。その後も理系ミステリーと囃され、絶大な支持を得ている。 森博嗣の作品をAmazonで見てみる ↑クリッ…

球体関節人形の蠱惑的な世界

球体関節人形というものをご存知でしょうか?球対関節人形とは、関節部が球体によって形成されている人形の総称であり、自在なポーズを取らせることが可能である。 もし今までに球体関節人形というものを見たことが無い方は一度検索してみると良いと思います…

古い文庫本特有のページのなんとも言えないペラペラ感と光沢について

最近オークションにてJ・P・ヤコブセンの「マリイ・グルッベ夫人」を購入したのですが、やはりこれだけ古いものだと大分劣化してヤケもあります。 ただ、この1ページの、最近の文庫本ページとは違う、そう、辞書のページの様なペラペラとした感じ!更にペー…

澁澤龍彦を読もう!

最近、澁澤龍彦訳のジャン・コクトー「大股びらき」、アルフレッド・ジャリ「超男性」、アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ「城の中のイギリス人」の三つの愛蔵版が白水社から発売された。凄く装丁が綺麗ですし、帯文も良い。 元々、澁澤龍彦という名前…

詩の解釈の正しさ / 詩の解釈の自由

何か思うところのあるような、直感的に、ああこの詩は好きだなあという詩の出会いは何度かあると思う。しかし、実際にその詩について調べてみると、その詩人研究のパイオニアが正しいであろう詩の解釈を示していて、自分の思い描いていたビジョンとは全く違…

詩人リルケを好きになると作家ヤコブセンも好きになる

今日はかなり涼しいです。多分気温22度くらいじゃないかな(体感)。 さて、リルケはプラハ生まれの詩人あるいは作家。後期の詩としては『ドゥイノの悲歌』や『オルフォイスへのソネット』。小説としては『マルテの手記』が有名で、ヤコブセンは小説『ニイルス…

スリップストリーム文学についてとそれを誰が書いているのか

今日は暖かく丁度良い陽気ですね。さて、昨日はアンナ・カヴァンの『氷』を読んだことをちらっと書いたのですが、この小説の序文における文頭で、 『氷』はスリップストリーム文学、それも、スリップストリーム文学に分類される中で最も重要な作品のひとつだ…

『失われた時を求めて』を小脇に抱えた九月二日 

八月が知らぬ間に終わってしまっていて、直ぐにでも年末の足音が聞こえてきそうで怖いですね。ところでこの夏を利用してプルーストの「失われた時を求めて」を読もうとしていたわけですが、何故か現在2巻の途中です。(全13巻;鈴木道彦訳のお洒落な装丁) こ…