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みんなに読んでもらいたいおすすめ小説5選【海外文学編】

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 台風が去っていったようなのですが、友達が遊びに来た時くらいしかテレビを付けないので、正直気付いていなかったです。ただ今日の空は凄く綺麗な色で、青く澄み渡っていて気持ち良かった。

 さて、早速おすすめの海外文学を紹介していきます。紹介順は関係無く、どれも素晴らしいと思った小説です。

 1. J・P・ヤコブセン『ニイルスリイネ(邦題は死と愛)』

ニイルス・リイネ

内容紹介

「愛とあこがれ、夢と希望に燃えて精一杯生きぬいたニイルス・リイネの心の遍歴を繊細華麗に描いて、リルケの絶賛を博した北欧文学の金字塔的作品。「北方の空に無比の美しい深い光をはなっている明星」と評する訳者山室静氏による推敲をかさねた名訳でおくる。」

  デンマーク詩人であり小説家でもあったヤコブセンが、病が重くなるなか、奇跡的に完成させた作品。また、イプセンリルケも絶賛した作品でもある。

 この作品の凄さの一つは、まず芳醇な表現力にある。視覚的に鮮やかに浮かび上がるような描写は、ニイルスの認識や目の前の景色を読者に色濃く与えてくれるのだ。ニイルスの生涯は端的に言って、唐突な愛や途方もない悲しみに溺れさす死が縁取っている。彼は友人や隣人との暮らしの中で限りなく広い思考で哲学する。以前ブログでも書いたけれど、この小説のタイトルは、初め『無神論者』であった。これはニイルスが苦しみながらも無神論を貫くまでの小説である。神に祈るという行為は、私たちの思うよりも重いことなのだと、その姿が示しているのだ。kindleだと安いし読みやすくて良いと思います。紙媒体だとオクとか古書店になるかと。

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 2. カミュ『異邦人』

異邦人 (新潮文庫)

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 【内容紹介】

「母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。」

 ムルソーが殺人を犯したのは太陽のせいなのだろうか?それとも彼に、元々備わっていた気性のせいだろうか?私たちが目にするのは、ぼやけた靄の中で行われた殺人のように、つかみどころの得にくい事象。何故私がこれをお勧めするかというと、これを読み終わった後、何かがじわじわと効いてくるような、遅効性の毒の様なものを感じたから。異邦人を読み終わった人同士で語り合うのはかなり面白いことかもしれません。

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3. シャーリイジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』

ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)

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 【内容紹介】

「あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。ほかの家族が殺されたこの屋敷で、姉のコニーと暮らしている…。悪意に満ちた外界に背を向け、空想が彩る閉じた世界で過ごす幸せな日々。しかし従兄チャールズの来訪が、美しく病んだ世界に大きな変化をもたらそうとしていた。“魔女”と呼ばれた女流作家が、超自然的要素を排し、少女の視線から人間心理に潜む邪悪を描いた傑作。」

 メアリ・キャサリン・ブラックウッドは買い物へ出かける。みんなが私たちのことを憎んでいるけれど、カフェによって何でもないのだと見せつけるの。町の子供は歌う。≪ねえメリキャット、お茶でもいかがとコニーのさそい
          まあけっこうよ、毒入りなのねとメリキャット≫

 かなり恐い。下手なホラーよりも。これが狂気というやつなのだ。怒り喚き散らすようなヒステリーとは違う、静謐でゆっくりとした淡々とした会話の中に潜む何かが、私たちを侵食していく。

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4. アンナ・カヴァン『われはラザロ』

われはラザロ

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 【内容紹介】

あらゆる悲しみが やってくる
強制的な昏睡、恐怖に満ちた記憶、敵機のサーチライト…… 
ロンドンに轟く爆撃音、そして透徹した悲しみ。
アサイラム・ピース』につぐ二作目の短篇集。

 アンナ・カヴァンと言えば『氷』が有名でですが、『われはラザロ』もカヴァンらしさの溢れる短編集である。私から何かが欠落してしまっているとして、私がそれに気づいてしまったらどうなるだろうか。それを追い求めるか?潔く捨てるか?それらのどちらも簡単な事ではないかもしれない。何か大事なピースが欠けてしまったような、もう生きられなくなってしまったかのような悲壮感が多くの短編で感じられた。短編はそれぞれページ数の多いものや少ないものがあるのだが、「写真」という短編が12ページという短さながら、特有の異質さが描かれていて感嘆した。

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5. ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』

ロリータ (新潮文庫)

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 【内容紹介】

「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。……」世界文学の最高傑作と呼ばれながら、ここまで誤解多き作品も数少ない。中年男の少女への倒錯した恋を描く恋愛小説であると同時に、ミステリでありロード・ノヴェルであり、今も論争が続く文学的謎を孕む至高の存在でもある。多様な読みを可能とする「真の古典」の、ときに爆笑を、ときに涙を誘う決定版新訳。注釈付。

 私としてはこの作品の圧倒的描写力に感嘆した。ロリータを描写するときは勿論のこと、周りの風景に対する比喩も抜群に楽しめた。それは滑稽で笑えるものあったり、息をのむ程艶めかしかったり、多様である。
ただ、初めに私としてはと書いたように、読む人によっては姿をがらりと変えるような作品なのです。その点において、これは文学の芸術作品だと感じた。

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