仄暗いほど柔らかい

晴読雨読の日々をつらつらと...

読書

「雪国」や「伊豆の踊子」を楽しめなかった人に薦めたい川端康成作品5選!

「雪国」や「伊豆の踊子」で有名な川端康成。しかし、読んでみたら全然よく分からない。これがノーベル賞なのか?そんな風に思った人もいるかと思います。 今回はそんな人にもお勧めできる "面白い" 川端康成作品を紹介します。 1.みずうみ みずうみ (新潮文…

「失われた時を求めて」を読むために、或いは楽しむために重要な本5冊.

フランス文学の中でもとりわけ存在感の大きいマルセル・プルーストの「失われた時を求めて」。その膨大なテキストに対し、多くの批評家が様々な視点からこの物語を解析しているのだが、そのどれを取ってみても面白い!しかし、この小説は逃げ水の様な小説だ…

ポール・オースターという"非在" 【ニューヨーク三部作(幽霊たち, ガラスの街, 鍵のかかった部屋)】

ポール・オースターと言えばニューヨーク三部作が有名である。何故有名なのかは正直読めばわかる。これは普通の小説とは違う異質を纏っているのだ。 この三部作に通底していることとして、私は "非在感" を挙げたい。それは、主人公ないし著者自身に関しても…

九十九十九という存在は一体何だったのか。舞城作品のストーリーの意味【舞城王太郎】

今朝、舞城王太郎の「九十九十九」を読み終えた。そしてやっぱり舞城は長編になればなるほど良いと感じました。舞城作品は長くなればなるほど複雑な世界が形成され、意味不明なことが一杯起こるのだ。 【一応ネタバレ注意】 さて、一章を読んで二章を読むと…

アンナ・カヴァンは何を書いたのか。~出産への嫌悪、夢想と幻想の行き先~

先日「愛の渇き」を読み終え、これで邦訳されているカヴァン作品は全て読み終わりました(多分)。 まずは簡単な分類を、 原書の出版年月は画像の通りで、左のものほど古く、右のものほど新しいです。 ●短編集 「われはラザロ」「アサイラム・ピース」「ジュ…

言語破壊装置としてのダダ。ツァラによる「ダダの詩を作るために」と言う名の作詩法。

塚原史「ダダ・シュルレアリスムの時代」を読んでいるのですが、これがめちゃくちゃ面白い。シュルレアリスムという単語は聞き覚えがある人も多いかと思いますが、ダダという言葉はどうでしょうか?丁度ダダに関する章を読み終えたので、面白いと思った箇所…

舞城王太郎はエンタメか純文か / 芥川賞を取れるのか / 突出したリーダビリティに潜むもの

【舞城王太郎はエンタメか純文か】 私が舞城作品を読んでいて思うことは、実際に「今」読んでいるこの時が作品のピークなのではないかという事である。端的に言って余韻が少ないと感じる。それは特に短編で現れることが多い。最近「短篇五芒星」を読んだので…

舞城王太郎の「ディスコ探偵水曜日」がとんでもない作品だった

この三日で舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日」を読んだ。久しぶりに読んだ舞城作品であり、その中でも一番の長編であるこの作品を読んでしまったのは幸か不幸かはたまたその間にある謎の場所か、簡単に言ってトンデモない作品だった。 きっと数あるミステリー…

ウラジーミル・ナボコフ『アーダ』に描かれるユーモアだらけの遊戯

先日、若島正による新訳で出版されたナボコフの『アーダ』。訳者自身が「本書はなによりもまず、とびきり楽しい小説である。ナボコフの全作品の中で最もエロティックかつユーモアにあふれている」と話すように、まさにこの物語は多彩な交わりと言語遊戯が含…

みんなに読んでもらいたいおすすめ小説5選【日本文学編】

最近は更新頻度が落ちてきていますが、ぼちぼちやっていきたい... さて、前回は「みんなに読んでもらいたいおすすめ小説5選【海外文学編】」と題して紹介しました。↓ みんなに読んでもらいたいおすすめ小説5選【海外文学編】 - 仄暗いほど柔らかい 今回は日…

みんなに読んでもらいたいおすすめ小説5選【海外文学編】

台風が去っていったようなのですが、友達が遊びに来た時くらいしかテレビを付けないので、正直気付いていなかったです。ただ今日の空は凄く綺麗な色で、青く澄み渡っていて気持ち良かった。 さて、早速おすすめの海外文学を紹介していきます。紹介順は関係無…

森博嗣ミステリィの特異点

【森博嗣】 森博嗣は超多作なミステリー作家で、S&MシリーズやVシリーズといったシリーズものが有名。「すべてがFになる」でメフィスト賞を受賞しデビュー。その後も理系ミステリーと囃され、絶大な支持を得ている。 森博嗣の作品をAmazonで見てみる ↑クリッ…

澁澤龍彦を読もう!

最近、澁澤龍彦訳のジャン・コクトー「大股びらき」、アルフレッド・ジャリ「超男性」、アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ「城の中のイギリス人」の三つの愛蔵版が白水社から発売された。凄く装丁が綺麗ですし、帯文も良い。 元々、澁澤龍彦という名前…

詩人リルケを好きになると作家ヤコブセンも好きになる

今日はかなり涼しいです。多分気温22度くらいじゃないかな(体感)。 さて、リルケはプラハ生まれの詩人あるいは作家。後期の詩としては『ドゥイノの悲歌』や『オルフォイスへのソネット』。小説としては『マルテの手記』が有名で、ヤコブセンは小説『ニイルス…

『失われた時を求めて』を小脇に抱えた九月二日 

八月が知らぬ間に終わってしまっていて、直ぐにでも年末の足音が聞こえてきそうで怖いですね。ところでこの夏を利用してプルーストの「失われた時を求めて」を読もうとしていたわけですが、何故か現在2巻の途中です。(全13巻;鈴木道彦訳のお洒落な装丁) こ…